アクリル水槽を製作する際に選ぶべき板の種類についてのお話

アクリル板の種類についてのお話

アクリル水槽に使用するアクリル板は大まかに分けて2種類です。
*よく強化プラスチックと言う材料を見うけますが、強化プラスチックとはカテゴリー分類する表現ですので、強化プラスチックと言う単体の材料は存在しません。強化プラスチックとは混ぜ物を入れ強化したプラスチック、FRPやカーボンファイパー等の事を言います。

(1)押出し板  
粘土のようなアクリル樹脂をローラーで平らにしていく製法(ところ天の押出しに似てます)です。ほとんどのディスプレイ製品や生活雑貨はこの押出し板で製作されています。

メリット
・ローラーで押出す事により、板厚が均等に保てるため高差は少ない 
・押出し製法なので密度が(低分子)が低く柔らかい為、接着容易に出来る
・大量生産が可能なため価格が安い
・量販店で入手可能
デメリット
・柔らかいので傷が付きやすい、たわみやすい
・加工がしずらい。非常に溶けやすく、切削等の加工時に溶けてしまう。
・劣化が早い

(2)キャスト板 
2枚のガラス板で空間を作り、その空間にアクリル樹脂を流し込み固める製法。水槽や、耐久性が求められる製品に使用される

メリット
・押出し板に比べて硬い。液体を固めるため密度(高分子)が高い。押出し板の約10倍~20倍と言われている。
・厚板の製作が可能。押出し板は15mmまでが流通されており、キャスト板は50mmを超えるものもある
・非常に硬い為、押出し板に比べ、傷が付きにくく、劣化の速度も遅い
・切削加工がし易い
デメリット
・押出し板に比べて高価 
・接着が困難 
・板厚の高差がある。

一枚の板だと見分けは付きませんが、穴を開けたり加工をするとすぐにわかります。
ドリルで穴を開けると押出し板の場合は、熱で溶けてネバネバの状態で刃先にこびりつきますが、キャスト板の場合は押出し板のようにこびり付く事はありません。
キャスト板は分子密度が高い為、切削熱にも強いということになります。

結論:アクリル水槽製作にはキャスト板が向いていると思います。

※イラスト資料:一般財団法人 プラスチック環境利用協会より